誤嚥性肺炎予防

死因順位

厚生労働省による最新(令和元年10月現在)の死因順位の統計をみると

1位 悪性腫瘍(ガン)

2位 心疾患

3位 脳血管疾患

4位 老衰(誤嚥性肺炎含?)

5位 肺炎(94654人)

7位 誤嚥性肺炎(38462人)

となっており、誤嚥性肺炎を予防することは健康寿命の増進に直接繋がってきます。


患者様が高齢になればなるほど肺炎における誤嚥性肺炎の占める割合が上昇していき、高齢者の肺炎の70%が誤嚥性肺炎(Teramoto S et al. J Am Geriatr Soc. 2008より)、また80歳以上では全肺炎のうち8割が誤嚥性肺炎といわれています。(統計上は死亡の第7位ですが誤嚥性肺炎が直接の死因であったとしても「老衰」を死亡理由と書くケースも多いため、「隠れ誤嚥性肺炎」がデータ上には存在する可能性)

肺炎・誤嚥性肺炎にかかると発熱・咳などの症状が出たり、なんとなく調子が悪い、身体がだるい、食欲がない等の症状が出たりします。

肺炎を繰り返すと入退院を繰り返すこととなり、また次第に身体も衰弱していきます。

では、どうすれば予防できるのでしょうか。

 

まずは嚥下の仕組みから解説していきましょう。

嚥下のしくみ

食べ物をくちにいれて砕くことを咀嚼、噛み砕いた食塊を飲み込むことを嚥下といいます。

嚥下は①先行期②準備期③口腔期④咽頭期⑤食道期に分けられます。

 

先行期・・・視覚や嗅覚で食べ物を認知する時期

準備期・・・食べ物を咀嚼して食塊を形成します

口腔期・・・食塊を舌で咽頭へ送り込みます

咽頭期・・・食塊を嚥下反射によって食道まで送り込む

食道期・・・食塊を胃へと送る

 

②に問題がある方は→歯科の介入により虫歯の治療・義歯やかぶせ物の作製、歯周病治療など

④に問題のある方は→料理に適切なとろみをつけるトレーニングなど

患者様の問題点を発見し、対応させていただきます。

 

ニュートリー株式会社様の解説動画では、わかりやすく嚥下と誤嚥についてCG化されています。(クリック再生時、音量にご注意ください

 

お口の中から喉頭(のど)へ送り出された食塊が、食道を通って胃へと送り込まれます。

その時、気管(動画での左側の管)に流れないように喉頭蓋というフタが誤嚥を防ぐ役割を果たしています。

 

 

誤嚥性肺炎

先ほどの解説動画でもありましたように、嚥下(swallowing)をしたときに、食道のほうへ流れていくはずの食塊または液体(唾液含む)の一部または全部が喉頭蓋のフタをすり抜けて気管のほうへ流れて行ってしまうことを誤嚥といいます。

食塊や液体と共に流れていった口腔内細菌は、気管やその先の肺の中に侵入し肺炎を引き起こします。ひとたび肺炎を起こしてしまうと約2週間ほど入院・加療することが多く、肺炎を繰り返すことで次第に心身共に衰弱していってしまいます。

誤嚥性肺炎の起炎菌の多くは口腔内細菌です。

(Scannapieco FA. J Periodontol. 1999より)


誤嚥の原因がどこにあるのかを正しく見つけることが介護の際のキーポイントとなってきます。

 

喉頭蓋のフタの機能の低下、または喉頭周囲の筋肉の衰え(口腔フレイル)または麻痺などの理由で喉頭蓋がうまく機能しない場合など、誤嚥の原因は患者様によって異なります。

診断を正しく行うことで、胃ろうの必要のない患者様なのかどうか、舌のトレーニングだけで克服できる患者様なのか、それとも舌摂食補助床が必要な患者様なのか

その方にとって必要なトレーニングや、介護方法が見えてきます。 

 

通常、誤嚥をするとゴホゴホとむせますが、患者様の中にはムセを起こさず、ご本人も周りの方も誤嚥に気づかない不顕性誤嚥」を起こしている場合があり早期に発見することが重要です。

 

ただし、誤嚥性肺炎の多くは食事の際の誤嚥で発生するのではなく「就寝時に気道に流れ込む菌の混じった唾液によって起こる」ことがわかっております。

そこで大切になってくるのが口腔ケアです。

誤嚥性肺炎は、口腔内の常在菌や嫌気性菌が多いとされています。

本来唾液は清潔ですから、その唾液に混じる菌の量を減らしましょう。


「継続した口腔ケアにより、誤嚥性肺炎を予防できる」

(Yonetana et al. Lacet 1998)


 

【口腔ケアについてはこちらから】

 

トレーニング法

食事中に誤嚥を起こす方も多いですが、誤嚥性肺炎にかかる方は寝ているときの唾液が気管に流れ込むことで起こることが多いといわれています。

唾液自体は清潔ですので、お口の中の細菌(例えば歯周病菌)が混ざった唾液を飲み込むことが直接的な原因ではないかと考えられます。

誤嚥性肺炎のリスクが高い患者様ほど口腔ケアが重要になってきます

口腔ケアについては別ページで解説しております。

 

また、喉頭蓋は甲状軟骨・舌骨とつながっており(図準備中)舌がよく上がる方ほどむせにくくなります。

当医院では、誤嚥・むせを防止するために舌を鍛えて舌骨を上げるトレーニングを実践しております。

 

あいうべ体操